同じものを見る

自分の実家は(これは禅宗によくある形式なんだけど)稲荷神社と寺が
一緒になってる。それと屋根続きで自宅部分があって、祖父が隠居するので隠居部屋を立て、
さらに古くなっていた家屋部分も立て直して、現在ほとんど完成している。
住職は父が(父は養子)後を継ぐことになって、今年の冬にその儀式(?)を
やるらしい。父が住職になって、兄も正式に坊さんとして活動することになる。
家が完成したら帰って来いといわれたので八月の末帰る予定だ。
そんな実家だが、もともと仏教は死んだものは天にのぼるか地に落ちるか
輪廻するしかないから霊魂という概念がない。あるのは日本仏教だ。
だけれどうちには妙な話が多い。
母もその妹である叔母も私も力の大小は問わず霊感体質で、ヒステリックだ。
(叔母はもう亡くなっている。)よく夜中トイレ起きのときに、檀家のおじいちゃんやおばあちゃんが
廊下をすーーっと歩いていったのを見たという。
そして、必ず翌日かその日の夜中に訃報が届く。まさに母が見たその人だ。
さて、これはそんな母の霊体験だ。
母はよく夜にうなされ、隣の部屋で寝ている私をうめき声で呼ぶ。(というより
不安なので起こしに行くしかないのだが)その日はたまたま私は母の呼びかけに
気づいて起きる前に意識があった。
見れば空間が入り混じってマーブル模様のようになり、壁からは無数の男の
顔が出てくる。天井からも床からも。私は母を助けに行きたいと思っても
唯一出せるのは声だけだ。
「おかあさーん」と、初めて叫んだ。
母も同じものを見て、やはり私の名を叫んでいた。どのくらい時間がたったのか
分からないまま朝になって、その日は母も私も熱を出し、学校を休んだ。
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