廃校@

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夏の終わりのある日。友人が肝試しに行こう、と誘ってきた。
俺には霊感なんてまったく無し。こいつ、北上って奴だけど、こいつにも当然無し。
何でまたそんなモノに、と思って聞き質すと、
「同じ大学のオカルト好きな女の子2人と意気投合したから」
という、とても分かりやすい理由だった。
まぁ、そんな訳なら誘ってくれたことに感謝しないといけないが、目的地がちょっと不安だった。

S県の山中にある廃校。
学内で少し噂になったところだ。
というのも、うちの学校のオカルトサークルの5人がここに向かったきり、行方不明になったとか。

うちらにも何かあったらどうするのか、と不安になるが、
北上曰く、「有名なところだから、逆に安心。」ということらしい。
なんでも、行方不明者が出たことで話題になり、廃校での捜索も行われた。
しかしその結果、そこには怪しいものは一切何もなかったことが判明したので、
その廃校は“安全な心霊スポット”になった、と言う。

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肝試し当日、それでもビビリな俺は、万が一を考えて家族に行き場所を伝えておく。
すると何やら心配されて、お守りなんかを持たされた。
そういうのがあると、なんか逆に怖いのだけどね。
わざわざこちらから危ない場所に行って、危ない目にあうなんてバカげてる、と言われたが、
今回の場所は安全。ただそういう雰囲気を味わいたいだけ、と説得した。
俺もずいぶんと過保護なものだ。
まぁ仕方ない。小さい頃に父親を亡くして、家に男手は俺だけだ。

迎えに来た北上の車に乗って、目的地に向かう。
車内には既に女の子が2人乗っていた。神尾です、鮎川です、と名乗った。こちらも雨月です、と名乗る。
神尾さんはスラッとした明るい感じの子。北上の好みだろうと思う。
鮎川さんもスタイルに申し分は無いが、やや地味な眼鏡をかけている。
しかしどちらも中々可愛い。さすが北上様、お目が高い。
助手席には当然?神尾さん。自分と鮎川さんは後部座席に乗って、出発した。

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車中での取り留めの無い話。やがて話題は目的地である廃校のことになる。
さすがにオカルト好きな女の子2人は詳しく、
特にその手の話題に関しては、鮎川さんは相当なものだった。
取り壊そうとすると祟りがあった、とか、他にも何人か行方不明者が出ている、なんていう話を聞かせてくれる。
一体どこが「安全な場所」なんだ?と思ったが、
捜索を行ったとき、廃校内には子供と思われる足跡がたくさんあり、
どうやら麓の小学校の子供達の遊び場になっているらしい、とのこと。

子供の遊び場になるくらいなら、まぁなんとなく安心…かな?
肝試しに行ってそこで遊んでいる子供達に会ったら、興醒めしてしまうかもだけど。

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やがて、廃校のある山に到着する。麓に車を置き、ここから肝試しスタート。
時刻は21時。辺りは真っ暗だ。
俺と北上が懐中電灯を持ち、4人で廃校に向かう。

平坦な山道。熊でも出たら…と思ったが、この辺りには居ないらしい。
さすが安全心霊スポット。
とは言っても、流石に怖くなってくる。
都会では考えられないくらい、静かだ。聞こえるのは木々のざわめきと、何かの鳥の鳴き声のみ。
行方不明になったという人たちも、こんな感じで廃校に向かったのだろうか?
なんてことを考えてしまう。

そして廃校に到着。
これがなかなかどうして、いい雰囲気が出ている。
聞くところによると、女の子2人も今まで霊を見たとかいう体験もなく、霊感は0だと言う。
つまりここにいる4人、誰も霊感なんてものは無い訳だが、この雰囲気には全員が圧倒された。

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では行くか、というところでちょっとした事が起きた。

俺の横に立っていた鮎川さんが息を呑むのが聞こえた。
俺「どうしたの…?鮎川さん、平気?」
暗くて表情はよく分からないが、彼女はなにやら怯えている。
そして廃校の2階を指差してこう言った。

鮎川「今、中に…誰かが…」
北上「え?誰かって…誰?」
答えようも無いような質問をして、俺と北上は懐中電灯で彼女が指差す方向を照らす。
北上「…誰も居ないぞ?」
俺「見間違いじゃない?木の影が映ったとか」
神尾「もしくはあれかな?私達と同じ人か、例の子供達か」
さすがにこの時間、21時過ぎに子供がいるとは思えないが、うちらと同じ肝試し組なら居そうだ。

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普通ならここで尻込みしてしまいそうだが、そこはソレ系が好きな女の子達。
ただの見間違いである、という安易な結論にして校舎内に入ることにした。
俺は…もちろん怖かったが、女の子2人が平然としているのに、男の俺が情けないとこは見せられない。

東西に伸びた、木造3階建ての校舎。階段は中央と東西それぞれにあるらしい。
進行ルートは、1階の西まで行き、2階へ。2階の東まで行き、3階へ。
3階の西まで行き2階に下り、2階の東から1階、そして出口へ、というジグザグルート。
途中、どこかの教室にでも入ってみるか、という事になった。

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校舎正面の入口から入り、まずは西の階段を目指す。
校舎内は当然明かりが無く、懐中電灯2本の明かりを頼りに進んでいく。
1階というのは「外」が近いからか、又はすぐに建物から出ることができる、という安心感からか、余り恐怖を感じない。
校舎内の部屋には札が付いており、そこが何の部屋だか分かるようになっている。
俺たちは保健室、職員室の前を通りすぎ、何事もなく階段に着き、2階へ上がった。

2階にはずらりと教室が並んでいた。
教室の扉は全て開いており、廊下に面して窓も付いているので、中をなんとなく覗きながら通り過ぎていく。
ギシギシと床を鳴らし、中央階段を通り過ぎた辺りで俺は気付いた。
この次の教室、さっき外で鮎川さんが指差した教室だ。

その教室、2-3と書いてあるその教室の前に差し掛かったが、俺は中を見ないようにした。
他の3人もどうやら分かっているようで、中を見ようとしない。
なんだ、みんな少しは怖がっているじゃないか。なんとなく安心する。
扉の前を通ったとき、なんとなく冷たい風を感じたのは…きっと気のせいだろう。

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やがて東の階段に着く。ここで北上がふぅーーっと息を吐いた。
北上「いやー、さっきのとこ、何か怖かったなぁ」
俺「あぁ、2-3だろ?鮎川さんが何か居たって言っていた教室だよね」
神尾「ね〜。私も怖かった〜」
鮎川「ごめんね、何か怖がらせちゃって…。でも何もなかったね」
みんな堰を切ったように話し始める。緊張していた証拠だろう。

落ち着いた空気になり、3階へ。

この階には怪談の定番、音楽室があったが、部屋の中を見てみると、お決まりのピアノも肖像画も何もない。
当たり前と言えば当たり前だ。廃校に置き去りにするものでもない。
北上が入ってみよう、というので、音楽室に入ってみる。

廃校Aへ続く
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