正しい除霊A

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私はよく、こういった「引っ掛かり」を感じることがある。
そういう時は、必ず何か裏があるハズだ、と自分では信じている。

古乃羽「それで、その男の人は帰っていったの?」
雨月「あぁ。姉貴に一言言って、帰っていったってさ」
古乃羽「なんて…?」
雨月「どなたか知りませんが、こういった事は私共に任せて…とか」
古乃羽「むー…」
ふくれる古乃羽。

北上「まぁ、そう言われても仕方ないのかなぁ…」
古乃羽「ムッ」
北上「…すまん」
にらまれる北上。

私「で、舞さんは?」
雨月「それで大人しく帰ってきたよ。用事も済んだことだしね」
古乃羽「そっかぁ…。舞さんなら無料でやってあげたと思うのにな」

確かにそうだろう。でも、お金が発生しないのが逆に不安を与えることも…と思ったが、口に出すのはやめておいた。私までにらまれそうだ。

それにしても、やっぱり気になる…

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私「あのさ…」
雨月「ん?」
私「うーん…何か、変じゃない?よく分からないけど、何か引っ掛かるのよね…」

雨月「お…」
雨月君は何故か感心したような声をあげる。
私「お…って?」
雨月「いや、凄いなぁ神尾さん。分かった?」
古乃羽「ん?何かあるの?」
私「うーん、何か、ちょっと…」
雨月「これ、姉貴に聞いた話をそのまま話したんだけど…。
姉貴さ、ちょっとイタズラ心というか、わざと要点を言わないで話をしてきたんだよね」
北上「要点とな?」

雨月「後で教えてくれたけど、俺は聞いただけじゃ分からなかったよ。…神尾さんは分かったのかな」
私「うーん…一ヶ所、何か不自然なところが。あの――」
古乃羽「あー、待って待って。まだ言わないでね。私も考えるから」
北上「んじゃ俺も…」
雨月「お前が分かったら、ショックだ」
北上「…みてろよ」

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古乃羽「うーん…」
北上「実は…モヤモヤは霊じゃなかったとか」
雨月「小学生がタバコでも吸っていたか?それは間違いなく霊だったってさ」
北上「…実はその往来会の男が悪霊」
雨月「普通の人だよ」
北上「…実は全部嘘。夢オチ」
雨月「話したことは、全部実際に起きた、本当のことだ。…姉貴に妄想癖はないと思う」
北上「じゃあ、実は…」
雨月「あのなぁ…。そう言っていけば、いつか当たるかも知れないけどさ」
北上「…」

古乃羽「除霊をするためにその家に行って、先に男の人が来ていて、母親から話を聞いて、子供から変なのが出てきて…」
古乃羽が話の順を追っていく。
北上「うんうん」
古乃羽「男の人がお札貼って、消えて、おしまい…って話よね」
北上「そうだよな…。あ、あれか?実はそれだけじゃまだ終わってなかったってパターン」
雨月「どんなパターンだ?ちゃんと除霊は終わったってさ」
北上「うーむ…」

私「その流れ、ひとつ抜けているよね」
古乃羽「…あれ?」

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古乃羽「えーっと…」
私「それだと登場人物が足りない…よね?」
雨月「そそ」
うん。じゃあ、やっぱりそうだ。
古乃羽「…あ」
雨月「分かった?」

古乃羽「…犬ね?」
雨月「そう、正解!」
私「うん。犬のところが、何か引っ掛かったのよね」
古乃羽「そっかぁ…」

北上「あの…俺だけ置いていかないでくれ」
古乃羽「だから、子供に飛び掛ろうとしていたのよ。出てきた霊に、じゃ無くて」
北上「…?」
私「で、その犬が舞さんに抱かれて、大人しくなった訳よ」
北上「そりゃきっと、何かの癒しパワーで…」
古乃羽「それもまぁ、ありそうだけど…この場合は別の可能性があるんじゃない?」
北上「別とな」
私「除霊したのよ」
北上「…あ!」

私「そうよね?舞さんが除霊をしにいったのは、子供じゃなくて、その犬の方なのよ」

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北上「そうか…。じゃあ悪い霊は2体居たんだな」
古乃羽「そう…なのかな。子供の方は、もしかしたら?」
雨月「あぁ。子供の方は、悪い霊なんかじゃなかったってさ。いわゆる守護霊みたいなものだったらしい」
私「え…。じゃあ、その守護霊を消しちゃったの?」

雨月「いや。姉貴の話では、その霊は普通子供に憑くものとは別物で、ちょっと強すぎて、長く憑いていると霊障が出そうだった、って言っていたよ」
古乃羽「そっか…」
雨月「現に、母親の話では少し害が出ていたみたいだしね。ただ、犬に憑いているモノから子供を守るために憑いていたんじゃないか、って」
私「あぁ、それで…」

雨月「うん。姉貴が犬の除霊をしたから、それで安心して、その守護霊も消えたってことさ」
北上「お札で消えたんじゃないのか…」
雨月「そうみたいだな。あんな安っぽいお札で消えるようなものじゃ無いって言っていたよ」
古乃羽「そっかそっかぁ…」
何だか嬉しそうな古乃羽。ま、気持ちは分かるかな。

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古乃羽「何よねぇ…私たちに任せて、なんてさ」
北上「その場で言ってやれば良かったのにな。除霊したのは私ですよって」
古乃羽「いいの。舞さんはそーゆーこと言わないの」
北上「あ、そう…」
また注意される北上。雨月君とは違い、まだまだ古乃羽の事を分かっていないようだ。

北上「でも、まぁ何だ。その往来会も大したこと無いな」
雨月「…さっきと一転したな」
私「んー…でも、ちゃんと霊感持ちの人が来ていた訳よね。何か頼りなくなっちゃったけど」
雨月「そのお札はアレだったけど、それで効果なかったら他にも手があったかも知れないしな」
北上「あぁ、それもそうか。除霊するのに、たった一枚だけお札持って来るってのも、あり得ないよな」
古乃羽「本当の除霊対象は間違っていたかもだけど…それでも、子供に悪い影響のある霊だった訳だしね」
まぁ、何も知らずに守護霊を消そうとしていた、って事にはなるけど。
北上「ふーむ…侮りがたし、往来会…」
雨月「どっちだよ…」

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私「でもさ、その家の人たちにとっては、その往来会の人が除霊してくれた、って認識なんだよね」
雨月「そうなるねぇ」
北上「あながち間違いでもないし、インチキでもなかった訳だからな」
古乃羽「一応はちゃんとした団体なのね。…依頼しようとは思わないけど」
どことなく、敵対心を燃やしている感じの古乃羽。

私「私たちの場合、舞さんに相談しちゃうからなぁ…」
古乃羽「うんうん」
北上「俺の場合は、牧村のお婆さんかなぁ」
古乃羽「…あ。私たちも一度、ちゃんとお礼に行かないとね。そのお婆さんに」
雨月「だなぁ。前に会ったとき、知らなかったから何も言ってないや…」

その後も雨月君は舞さんの話をいくつかしてくれた。
それを聞くにつれて、彼がシスコンであることが明らかになっていく。
これは古乃羽にとってマイナスイメージじゃ…?と心配になったが、
古乃羽はこの点を許しているらしく、逆に舞さんを大事にしないと許さない、くらいの事を言う。

もしこの2人がこのまま一緒になったら…舞さんは少し大変かも知れない。
その時は私が舞さんの相談相手になろうと、心に決めた。
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