祭り

759 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/12/08(月) 18:17:21 ID:UJPr5Iv20

短い話をつなぎで投下させていただきます。
…ミイラでも見てみたいかも。

祭り 1/4

大月に乗せてもらい、自分のマンションに辿り着いた俺は、礼もそこそこに布団に潜り込んだ。
かみさんが顔を覗き込んで、心配そうに聞いてくる。
「大丈夫?最近、なんかおかしいよ」
心の奥底に、いつも得体の知れない不安を抱えているから、鬱になったり、逆に払拭しようとカラ元気を出したり。俺自身にも自分の変調は自覚できていた。
「子どもが生まれてナーバスになってるのかもな」
と答えると、かみさんは、
「私がマタニティブルーになるならわかるけど、パパもなの?」
と笑った。
…ほんとだよ。情けねえ。

腹筋が発達して泣き声が逞しくなった娘を脇に抱え、俺は眠りについた。
小さくて不確かな命がそばにいるから、熟睡はできない。でも、それを嘆く気はない。
こいつはどんな大人になって、俺はどんな親になっていくんだろう。
いろんな感情で高ぶったままの神経が、それでもゆっくりと麻痺していく。



760 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/12/08(月) 18:17:48 ID:UJPr5Iv20

祭り 2/4

妙な声で目が覚めた。
時計を見ると、朝の4時になるところだ。
寝ぼけたのかと思って布団に潜りなおす。夏とはいえ、明け方は冷える。
そのとき、また声がした。
「-----…ろー…」

……外…だな…。
表の通りを、太鼓の囃子と子どもの声が歩いている。
うちは4階だし、表通りは駐車場を挟んでいるから、それほどの騒音には感じない。それでも、夜中に祭り行列とは非常識が過ぎるような気がした。
かみさんと子どもを見ると、よく寝ている。
静まり返った空気に混ざる声が、だんだんと聞き取れるようになった。
「…きろー」「…起きろー」「はよ起きろー」

悪戯か?
俺は起き上がって窓に近寄った。
子どもの声には聞こえるが、厄介なタイプの集団かもしれない。こちらの動向に気づかれないように、そっとカーテンを開けて、外を確認した。



761 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/12/08(月) 18:18:16 ID:UJPr5Iv20

祭り 3/4

4階のベランダの縁で、下から覗き込むような2つの顔が覗いていた。
普通の人間の倍ほどもある大きさだった。
振り乱した黒髪の乗った頭から、硬い角が生えている。
ぎょろりとした目が、俺をまっすぐに見ていた。
牙のある口が動き、
「はよ起きろー」
と、低い声を発した。









鬼が来た!!!!!!!!



762 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/12/08(月) 18:18:49 ID:UJPr5Iv20

祭り 4/4

俺はカーテンを閉めることも忘れて後方へ這いずった。
何かに当たったので見ると、かみさんの頭だった。

…子どもは?!

見回しても、薄い布団にそれらしい盛り上がりはない。
かみさんを揺り起こし、
「ユイは?!」
と怒鳴りつけると、かみさんも飛び起きて探し始めた。
俺は冷静さを欠いていて、目の前の部屋の様子すらうまく認識できなかった。
「鬼が連れて行ったのか?」
とかみさんに問うと、
「何言ってるの…?」
と泣きそうな顔で首を振る。
「返してもらってくる」
俺は寝巻きのまま玄関を飛び出した。
どこへ行けばいいのか、見当はついてるんだ。
怖いサイト.com
ベストヒットナビ
感想・雑談はコチラ
もっと探す@AB
[戻る]
- mono space -