40人目の子供A

6/11
神尾「40ある時点ですでに謎は生まれている訳で、翌日の天気なんて関係ない、ってことね」
雨月「そう。姉貴はそう考えたみたい」
俺「あぁ、なるほど…」
そういう考えはなかった。しかし検察官の立場に立ってみれば、確かにそうだろう。
既に今日、そこに子供の遺体が40あるんだ。

神尾「でも、それってつまり…この話を、実際に起きた事として考えている、ってことなのかな」
雨月「そうだね。実際に起きる可能性がある話だ、ってさ」
俺「へ?実際に遺体が増えたって…?」
その考えもなかった。これが本当に起きた事と仮定して…なんて、考えた事もない。

鮎川「それでそれで?」
鮎川さんが促す。
雨月「それで…だ。姉貴が言うには、話を追っていけば自然と1つの答えに辿り着くんじゃない?ってさ」
俺「む…。何回も追った記憶があるんだけどな…」
鮎川「私も…。これ、結構考えたのよね」

でもここで改めて考えてみれば、何か分かるかもしれない。
俺たちは雨月に従って、話をもう一度追ってみることにした。…実際に起きた事と考えて。

7/11
雨月「理科室には、生徒39人と先生が1人。それ以外は誰も居ないのが大前提。あと、当然生徒は子供で、先生は大人。これもいいな?」
俺「うむ」
頭の中に、小学校の理科室が浮かぶ。実験の時間は何だか楽しくて、好きだった。

雨月「そこで大爆発。全員が木っ端微塵で、骨と肉片になる」

頭の中の理科室を爆発させる…のは、経験がないから無理だった。
まぁとにかく、映画の爆発シーンを思い浮かべ、骨を散らばらせる。…肉片はあまり想像したくない。

雨月「で…それを、検察官が体育館だっけ?そこに並べるんだ」

俺は検察官になり、バラバラになった骨と肉片を組み合わせ、並べていく。
1つ1つ丁寧に、地味で気味の悪い作業だが…

…あれ?

俺「これって…、無理じゃないか?」
考えてみれば、そうだった。
ここにあるのは、生徒39人と先生1人…つまり40人分のバラバラになった骨だ。
これを全部組み合わせて並べるなんて、出来るだろうか?

神尾「ちょっと無理よね…40人分でしょ?仮に大人と子供の区別がついたとしても、子供は39人分…」
鮎川「あ。この辺にヒントがある?」
雨月「ヒントに…なるのかな?でも、なんとか並べられると思うんだよね。個々に特長のあるパーツならさ。頭とか胴、腕や足とかなら」
神尾「そっか。正確には無理だけど、ある程度なら可能かもね」

8/11
雨月「で、それらを並べ終わると…白骨死体と余り物ができるわけだ」
俺「あぁ、そうだな」
鮎川「で、そのときの子供の数が…40なのよね」
雨月「うん」
神尾「…どこかに解答があったのかな」
俺「うーん…?」
俺は首を傾げる。

雨月「話はここからなんだ。…ちょっと難しいかも知れないけどさ」
鮎川「何?」

雨月「この時の白骨死体って、どんな感じになっていると思う?」
俺「ん…」
白骨死体。所々肉片が付いていたりする、ちょっとグロい死体だ。

俺「…気持ち悪いな」
神尾「40体が入り乱れていたから…パーツはあべこべ。でも一応、人の形はしているかな」
雨月「一応、だよね。人の形はしているけど、完璧じゃない。どこかしら欠けている箇所はあるはず」
鮎川「うん…。そうなるよね」
雨月「その欠けたところが、余り物だ」
俺「だな」
なんてことはない。そのままの話に思えるが…?

9/11
神尾「…えっ!?」
突然神尾さんが驚きの声をあげる。
俺「ど、どうした?」
鮎川「美加、何か分かったの?」
神尾「どうだろう…なんか凄いこと考えちゃった。ヤダヤダ…」
そういって自分の両肩を抱く神尾さん。何だろう…?

雨月「もし…、さ」
雨月が言う。
俺「もし?」
雨月「ある子供は頭の一部分が欠けていたとする」
俺「ふむ…」
雨月「またある子供は腕の一部分が、ある子供は足の一部分が欠けていたとする」
鮎川「え…」
雨月「そうやって集まるのは、39人分の欠けた部分」

鮎川「うわ、嘘…ヤダ…」
鮎川さんが口を押さえる。…なんだなんだ?
また1人だけ分からない俺。
しかしそんな俺も、次の雨月の一言で全てを理解した。

雨月「その欠けた部分を集めたとき、それが人の形になっていたら…?」

俺「あ…」
俺にも分かった。
それは39人から生まれた、40人目の子供だ。

10/11
俺「偶然…?」
ただの謎掛け話だと思っていたが、急にオカルト色が強くなった。
だけど、そんな事が起きるだろうか?
余った部分が偶然、人の形になるって…なんか無理があるような気がするぞ?

雨月「偶然ではない、ってさ。姉貴が言うには、検分が目的だったなら起きうることだとさ」
神尾「あ、そうか…」
俺「どういうこと?」

神尾「ほら、バラバラになった骨の山があるとするじゃない?現場からかき集めた、肉片が付いている骨の山…ちょっと気持ち悪いね。
そこから、1つのパーツを取り出して並べていくのよ。適当にじゃなく、人型をイメージして、それを完成させる目的で」
俺「だな」
神尾「その途中でさ、手に取った骨が、既に他に置いてある骨の欠けた部分であると気付かないで、別のところに並べたら…?」
俺「ふむ…」
そうか。それが、40人目の子供が生まれるキッカケとなる訳だ。
後は、人型を作る目的で、そこに他のパーツを組み合わせていくだけだ。

俺「ん…?でも、気付かずに並べるものかな?数えてみれば、それが40体目だ、って分かるよな」
雨月「それが、作業中は遺体の数を数えてないんだ。…だって、40体あるのに気付いたのは、並べ終わってからだろ?」
あ…なるほど。
数を数えずに並べていたという事実も、その要因になる訳だ。

11/11
鮎川「実際には、ミスがあってもなくても、中途半端な体がいくつか完成するだろうね」
雨月「爆発の具合は分からないけど、どうしても完璧にはならない遺体は、いくつかあるだろうな」

そうだ。つまり、仮に足が一本無い遺体でも、それを"1体"と数えただろう。
完全に粉微塵になって、復元できない部分もあるはずだから。

俺「そういった要素で出来たのが、40人目の子供ってことか」
雨月「あくまでも、姉貴が考えた1つの答えとして、な」
1つの答え。そうだろう。正解なんて分からないし、これだってきっと、ちょっと考えれば突っ込みどころはあるのだろう。

…しかし、だ。
この説だと、最後の検察官の叫びにも頷ける。
実際の子供の数は「合っている」のだ。子供は39人。この数に間違いは無い。

神尾「なるほどねぇ…」
鮎川「なんか不気味な話になったね…」
雨月「で、不気味と言えばさ、最後に姉貴にこんなこと言われたよ。…イジワルでさ」
鮎川「何?」

雨月「身元が分かっている39人の生徒と、1人の先生。この分の供養はできたと思うんだ」
俺「そうだろうな」
雨月「でも、そこで作られてしまった40人目の子供。死体から作られた、この子供はどうなったのか?
自分が誰かも分からないこの子は、ちゃんと成仏できたと思う?って」
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