コンビニA

私は意識を失っている佐藤のもとに駆け寄った。

頭を抱えて起こそうとするが佐藤に返事はない・・・気を失っているのか。

ふと、私はドアを見た。

「・・・う、うわぁぁあぁ!!」

佐藤が見たものが分かった・・・。

ドアの窓から女が・・・こちらを見ている。

それもケタケタケタケタ、バカにしてるような笑みを浮かべながら。

(ドアについてるこの四角い窓だけど、後でよく考えたらマジックミラーだった。
だから店内からは鏡に見えるはずなんだけど。)

私は恐怖と共に、「何故こんな目に合わなくちゃいけないんだ」と怒りがこみ上げてきた。

「・・・やねん・・なんやねんお前!!何がしたいねん!!どっか行けや!!」

私は勇気を振り絞って全力で叫んだ。

すると、ケタケタ笑っていた女の笑みが止んだ。

そして・・・一瞬睨むような恐ろしい目つきになり、スーっと窓から立ち去った。

「はぁっ・・・はぁ・・・どっか行ったか・・・」

安心・・・したのもつかの間。

店内から激しい物音が聞こえてきた、棚が倒れる音だ。

−バタン!!バターン!!・・・ドスン!!

(怒らせてしまったのか)

俺は佐藤の傍に座り込んでガタガタと震えていた。正直精神的にどうにかなりそうだった。

−ドスン!!バリッ!!メキ・・・バタン!!・・・


・・・


・・・・・


どれふらいの時間だったろうか、たぶん1分ほど激しくなり続けていた音が止んだ。

(気がすんだのか・・・)

私は立ち上がろうとした。

その時、

−プルルルルル、プルルルルルル

電話が鳴り出した。

−プルルルルル、プルルルルルル

鳴り止まない、私はとるのを躊躇った。

さっき電話がかかってきた時、モニターから私達の気をひくような不自然なコールだった

そして、静かになったと思ったらこれだ、タイミングがよすぎる。

しかし、もうどうにでもなれ、そんな気持ちで私は電話をとった。

「・・・もしもし」

「・・・・・・・・・・・・」

「もしもし!!」

「・・・・・・・・・・・・」

私は確信した。

「早く・・・早くこっから消えろ!!」

「・・・・・あ・・・あ・・・・・あああ」

(しゃべった?!)

「あ・・あ・・・ひ・ひ・・ひィィひひひひひィィひィひひひひひィィィひひひひひひひひひひひ」

(や、やばいやばいやば・・・・・)

その瞬間、私は頭の全思考がストップした。

声が・・・声が・・・受話器からだけじゃない。

すぐ・・・私の・・・後ろからも・・・

ゆっくりと振り向く。

「ぎ、ぎゃぁぁぁぁあああぁああぁあああああああああああああ」

そこには・・・気味の悪い笑い声を発しながらも、この世のものとは思えない形相で睨む女の顔があった。

・・・私は気を失った。

私は気を失った。





「・・い・・・おい!!起きろ!!」

「先輩!!起きてください!!」

誰かに呼ばれている、私はゆっくりと起き上がった。

そこにいたのは佐藤と店長だった。

時刻は4時50分、6時に店が開くため店長が出勤してきたのだろう。

それにしても何て長い間気を失っていたのかと自分でも思う。

「何があった!!何で店の中があんなことになってる!?」

店長は驚きと怒りでいっぱいといった様子だ。

「佐藤、お前店長に何があったか言ってないんか?」

「はい・・・まだ信じられなくて・・・先輩から言ってくださいよ。」

さすがの佐藤も気が滅入ってるようだ。

「実は・・・」

私は店長に一部始終を伝えた。

「そんなあほなことが・・・そうや!!監視カメラ見れば・・・!!」

「や、やめときましょ!!」

佐藤が叫ぶ。そりゃそうだ、もうあんな顔は見たくない。

そういうわけで、私は23時から見てくださいとだけ伝え、佐藤と共に店の外で頭を冷やして待つことにした。

−20分後

「佐藤!!○○(私)!!入ってこい!!」

店長が言った。

「お前らが言ってた女は映ってなかった。・・・ただ、棚はひとりでに倒れていった。どうやら嘘じゃないみたいやな・・・」

「女は映ってなかったんですか・・・?」

「あぁ・・・でも、俺もこういうことを全く信じないほど頭が固いわけでもない。
実際勝手に棚も倒れてる、お前らの言うことを信じないわけにもいかない。」

どうやら店長も信じてくれたようだ。

「お前らはもう帰れ、とりあえずみんな(アルバイト)に電話して片付け手伝ってもらえる奴いないか聞いてみる。

あと、このことはみんなには言うな。ビデオも俺が処分する、大丈夫、みんなには適当にごましとくさ。」

「わかりました・・・佐藤帰ろうか」

「はい・・・そうですね・・・」

「おう、気をつけてな!!もう忘れろよ!!」

私達は外に出た、5時すぎだが冬だったためまだ空は暗かった。

「佐藤、送るわ、乗ってけよ」

佐藤は徒歩で10分ぐらいかけて通っているが、さすがに心細いだろうと思って佐藤を車に乗せた。

・・・うん、もちろん私が怖かったのもあるけどね。

(まぁ、いつまでもくよくよしてても意味がない。きっぱり忘れるのが正解だ!!)

私は力強く自分に言いきかせ、車に乗り込んだ。

「よっしゃ!!帰るか!!さ・・と・・・・」

佐藤が口を大きく開き、目を見開いて店の中を見ている。

「あ・・・あ・・・」

「佐藤!?・・・ま・・・まさ・・か」

私はゆっくりと振り返り店内を見た。

店長が掃除を始めている・・・その後ろにいたのは・・・

私は光のごとき速さでエンジンを入れ車を出した。

佐藤は終始無言だった。

佐藤を送り、帰宅した私はベッドに倒れこんだ。





「○○!!いつまで寝てるの!?お昼過ぎてるよ、授業あるんちゃうの!?」

母の声が聞こえてきた、時刻は13時前、ずいぶん寝ていたようだ。

あ・・・そうだ、私にはしなければならないことがある。

店長に電話して無事を確かめること、あと・・・バイトをやめると伝えること。

さすがにもう続けることはできない。

電話をかけた。

「もしもし、○○です。」

「おぉ、どうだ、寝て少しはスッキリしたか?」

「えぇ・・・まぁ・・・それよりあれから何も起こらなかったですか?」

「何か?・・・あぁ・・・大丈夫、何もなかったぞ。」

私は店長の話すトーンに何か違和感を感じた・・・が、あえて触れようとはしなかった。

「それで店長・・・バイトなんですか、やめさせていただきたいです。」

「なんだ、お前もか・・・佐藤もついさっき電話があったよ、やめるってな」

どうやら佐藤も考えてることは同じだったようだ。

私はバイトリーダーだったため、一度店に来てほしい、話がしたいと言われたが拒否した。

もうあの店には行きたくない。

私はそれっきり店に行くことにはなくなった・・・。



ちなみに私たちが辞めて一ヶ月がたったころ、店は潰れた。

バイトしてた人に聞いてみると営業不振が原因だったらしい。

やはり気になったので店長に連絡をとった。

バイトの人には営業不振と伝えてあるが、実際は違うようだった。

理由を聞いても店長は言いたがらない・・・私はおそらく女が原因だろうと思っている。

そのコンビニは今も残っている、土地は店長のものだろうが建物はそのまま。

時がたった今も、車でその店の前を通ることがあるのだが、

私は絶対店の方は見ないようにしている。





・・・たとえどれだけ目線を感じても。
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