夢鬼B

俺「よし、そろそろいいだろう・・・出るぞ。」


俺とEは恐る恐るロッカーから出る。
よかった・・・誰も居ない。ロッカーという密室はあまりにも暑かった。

それに、俺の失禁のせいもあり、匂いにも我慢できなくなって・・・
二人して気分が悪くなり、その場にしゃがみこんだ。

いや、正確には腰が抜けて立っていられなかった・・・


俺「何だったんだ、あいつは・・・想像していた鬼とは違いすぎる・・・
夢の中っていうのがせめてもの救いだよ本当に・・・」


E「うん・・・そうだね・・・でももう私嫌だこんなの。
早く目が覚めたい!鬼ごっこなんかもうしたくない。」


Eは顔をグチャグチャにしながら泣いて俺にすがってきた。
失禁して汚い俺なんかに・・・

俺なんかより、Eの方が怖いんだ・・・俺がしっかりしなきゃ!


俺「大丈夫だ。いずれ目も覚めると思うし。それに多分誰かがもうあいつに捕まった。
だからもうあいつは鬼じゃない。な、それだけでもマシだろ。」


慰める言葉がこの程度しかない・・・でもこの時の俺にはそれが精一杯だった。

二人で重い腰を起こし、俺達はまた進んだ。
次は誰が鬼なのかは分からない。いや、誰でもいいから知っている奴に会いたい。
そう思いながら進んだ。

どこかの教室に入るのは危険だ。いざと言う時逃げられないかもしれない・・・
俺を先頭に、静かに、少しずつ進み、階段を上がり、2階へ進んだ。


「あいつ・・・捕まったのかな・・・凄い悲鳴あげてたし・・・」


「わからない・・・もうわからない・・・何なのよもう・・・」


「・・・・・・・・・」


?????


誰かの会話が聞こえた・・・慎重に近づき、姿を確認する。
BとDだった。


俺「おい・・・お前ら。大丈夫か?」


B「うわ!・・・なんだ・・・〇〇とEか・・・お前らこそ大丈夫か?
なんだよお前・・・ズボンが濡れてるぞ。」


俺「いや・・・正直大丈夫じゃない・・・ズボンの事は触れないでくれ・・・お願いだ。
それよりもお前らは最初どこに居た?」


B「俺は最初は音楽室に居たよ。そして進んだらDに会った。」


D「私は理科室からだった。廊下に出て皆を探そうと思ったら、まずA君に会って・・・
その次にB君に会ったの。そしてA君が皆を探そうと一人で大声で叫んでたら・・・
A君の悲鳴が聞こえて・・・私達怖くなって・・・A君を置いて逃げてきちゃったの・・・」


そう言うとDは黙り込んだ。そのかわりBが口を開く。


B「大丈夫じゃないって・・・何があったんだ?そのズボンも何かあったからそうなったんだろ?
一体何があった?」


俺とEはさっきの出来事を必死に説明した。
鬼の正体、外には出られない、そして鬼は悲鳴を聞いてどこかに行ったことなどを話した。


B「マジかよ・・・じゃあAは今頃・・・その変な奴に捕まって・・・
ああ、もうこんな鬼ごっこ嫌だ。俺は最初からこんな事したくなかったんだ。
D、お前責任取れよ!」


BはDに怒鳴りつけた。


D「私だってこんな事になるなんて思ってなかったよ!皆だって乗り気だったじゃない!
私だって怖いし、早くこんな鬼ごっこ止めたいわよ!」


BとDが喧嘩を始めてしまった。マズイ・・・こんな大声を出していたら見つかる・・・


俺「おい、二人とも止めろ。ここで喧嘩をしても何の意味もない。
それにこんな大声を出していたら、鬼に見つかるぞ。
まだAが捕まったと確定してないんだ。俺はあの変な奴にもう会いたくないんだ・・・
それにこれは夢だ。目が覚めればもう終わるんだ。」


そう言うとBとDは「ごめん」と一言言うと黙り込んだ。

よかった・・・なんとかまだ冷静でいられる。でもいつまでいられるか・・・
俺だってまだ小学生だ・・・怖いに決まっている。そう皆怖いんだ。


E「ありがとう、〇〇。」


そのありがとうの一言が嬉しかった。それに今は4人いる。
そしてもしAが鬼になっていたとしても、あの変な奴よりはマシだ。
そう思い、俺達4人は静かに進んだ・・・

その時・・・

ダダダダダダダ・・・・

足音が聞こえる。向こうの廊下からか・・・
走ってきている。誰だ?Aか?他の奴か・・・それとも・・・

やはりさっきの大声で気付かれたか・・・
俺達4人は歩くのを止め、その足音の正体を確認しようとしていた。

でも廊下は暗い・・・確認するにはこの窓からの月明かりが必要だ・・・
だからそれが最低限見える位置に下がり、足音が近づくのを待った。

ダダダダダダダ・・・・

まだ聞こえる・・・でも近づいてきている・・・
でもまだ姿は見えない。
そしてついに姿を現した・・・


!!!!!!!!


「うわー!なんだよコイツ・・・」


「またアイツかよ・・・Aが鬼じゃないのかよ・・・」


「きゃー!もう嫌・・・」


「こっち来ないで・・・」


俺たちは姿を確認した瞬間一斉に逃げた・・・
逃げるしかなかった。間違いない・・・
また奴だ。あの真っ黒い姿・・・そしてあの目・・・
あの恐怖が再び襲い掛かる。

もうがむしゃらに逃げた。
後ろは振り向けない・・・
怖くてとてもじゃないが振り向けない・・・

息が切れるまで走った。
どれくらい走っただろう。俺は無意識にどこかの教室に入った。


「はあ、はあ、はあ、・・・」


もう走れない・・・息が続かない・・・
俺はその場に崩れた。

皆は?どこに行った?はぐれたか・・・
俺は3階に上がった。そしてこの教室まで必死に走ってきた。

もう足音は聞こえない。よかった・・・逃げられた。
でも他の奴らは・・・皆、どこに行ったのだろう・・・

まさか捕まったのか・・・落ち着け、今は体力を回復させることだけ考えろ。
悪いが今は皆の事を考えている余裕はない・・・
自分の事で精一杯だ。

俺は深呼吸をし、冷静になろうと努力した。
足がガクガクいっている・・・無理もない。
こんな恐怖・・・今まで味わったことがない・・・

足の震えが止まるまでしばらくかかった・・・
一応、冷静さを取り戻し、辺りを見渡す。この教室。
家庭科室だ。


「家庭科室か。それなら何か使えそうな物があるはず。
何かないか。」


俺は流しが付いているテーブルの引き出しを開ける。


取り出したのは包丁。家庭科室だから調理実習で使う包丁があった。
もしまたアイツがきたらこれで・・・

おれはもう恐怖でそんな事を考えていた。今思えばこれはただの夢。

夢の中なのに・・・でも本当にリアル過ぎる。
この時の俺は夢であることを忘れていた。

そして鬼ごっこであることも。
アイツに捕まったら殺される。なら俺が反対に殺してやる。
その様な事を小学生ながら考えていた。

このままここに隠れているか?それとも皆を探すか・・・
隠れているのも一つの手だったろう。だが俺はここに一人では居たくなかった。

誰もいない、暗く静かな家庭科室・・・俺の息遣いしか聞こえない。
そして電気も付けることができない・・・付けたらここに居ることがバレてしまう。
この暗闇の中、居るしかなかった。

そしてもしここに奴が来たら・・・逃げられない・・・

それだけで十分恐怖だった・・・

ふと窓を見る。
窓からは中庭を挟んで、廊下の窓が見えた。

「ん?誰かが走っている。いや、逃げている。誰だ?」

月明かりのおかげで確認できた。
Cだった。でもC一人なのか?


!!!!!!!


俺は思わず窓から顔を離し、隠れる。
月明かりで一瞬見えた。

あの真っ黒い奴だ・・・

Cは今、アイツに追われている。じゃあもうB、D、Eは捕まったのか?

いや、捕まっていたらアイツが鬼な訳ない・・・
まだ誰も捕まっていないのか・・・

それもおかしい、一人くらいもう捕まってもいいはずだ。
また恐怖で足がガクガク震える・・・
怖い・・・ただの鬼ごっこのはずなのに・・・

それより今何時だ?
結構時間が経ったと思うが・・・

俺は家庭科室にある時計を確認する。


「そんな・・・まだ12時じゃないか・・・」


そう、時計は動いていなかった。
ここの時計だけ壊れているのか・・・でも偶然過ぎる。

俺たちは12時にこの夢鬼を始めた。
そしてこの時計も12時で止まっている。

まさか・・・ずっとこの暗い夜のままなのか・・・
朝が来れば少しはマシになると思っていた俺にとって、それは凄いショックな事だった。


「少し、落ち着いてからここを出よう。もう一人でなんか居られない・・・」


そう独り言を言い、体力が回復した所で、俺は右手に包丁を持ち

家庭科室を出た

夢鬼Cへ続く
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