夢鬼C

俺は家庭科室から出た。右手に包丁を持って・・・

誰かに会いたい・・・一人は嫌だ。でも・・・アイツに会うかもしれない・・・

ここで気が付いた。最初の時よりも辺りがよく見える。
でも暗いのには変わりはない。

正確には目が暗さに慣れたのだろう。だからさっきすぐにBとDだと確認出来たんだ。
でも奴だけはすぐに確認できない。

奴はこの暗さと同化している。近くに来なければ確認できない。

それか月明かりでしか・・・そして足音だ。
これからは足音が聞こえたら奴だと思った方がいいかもしれない。
近づいてからでは遅すぎる・・・

そう思いながら静かに進む。慎重に・・・
各教室も確認する。
アイツがいるかもしれないから、いつでも逃げれる体制を保ちながら・・・

ここにも誰もいない・・・ここもだ。早く誰かに会いたい・・・
そう焦りながら各教室を確認していく。

そして6年3組の教室の前に来たところでまた足音が聞こえた・・・


カツン、カツン・・・


奴かもしれない・・・
怖くなり、不意に教室に入ってしまった。
しまった・・・もしここで見つかったら逃げられないかもしれない・・・

大丈夫、奴に気付かれないようにやり過ごすんだ。

もう教室からは出られない。出た瞬間、奴がいるかもしれないからだ・・・
奴の足音が過ぎるまでここに隠れるしかない・・・


ガタガタ・・・


そう思っていると、掃除用具が入っているロッカーの辺りから何か音がした。

誰だ?ここに誰か居るのか?奴か?
細心の注意を払い、教壇に近づく・・・
右手に包丁を握り締めて・・・奴だったらこの包丁で刺す。


そして一気に近づき、ロッカーを開ける・・・


「うわ!なんだ、〇〇か・・・よかった・・・」


ロッカーの中に隠れていて、軽く悲鳴を上げたのはEだった。
もう泣き疲れている様だった。体もブルブル震えている。


俺「大丈夫だ。俺だよ。
それよりもE。BとDはどうした?一緒じゃないのか?」

E「うん、それが・・・あの時私たちは1階へ逃げたの。
でもアイツが追ってきて・・・もう捕まるかと思った・・・
そうしたらBが・・・Dちゃんを・・・」

俺「Dがどうかしたのか?何があった?」

E「・・・Dちゃんをね、捕まえて盾にしたの・・・Dちゃんその時凄い叫んでた・・・
でもBは・・・そのままDちゃんを・・・」

俺「・・・じゃあDとBは捕まったって事か?」

E「分かんない・・・分かんないよ・・・私はその隙にここに逃げてきの・・・

二人を見捨てて・・・でも・・・本当に怖かったの・・・」

俺「・・・もう分かったよE。誰もお前を責めないよ。俺でもそうしてるよ。」


そう言い終えたEはまた泣き出してしまった。無理もない。
目の前で友達が、アイツに襲われそうになっているのに、見捨ててしまった。

凄い罪悪感なんだろう・・・そして恐怖なんだろう・・・
俺でも泣いてるよ。

その時


バタン!


何だ?

ドアを開ける音がした。
まだ距離はありそうだ。誰かが各教室のドアを開けているようだ・・・


バタン!


まただ。前より近い・・・確実に近づいてきている・・・


バタン!


今教室を出たら確実に見つかる・・・アイツなのか・・・それとも他の誰かなのか・・・


バタン!


もうすぐそこだ。
マズイ・・・このままだと見つかる・・・


俺「E、よく聞け、俺は今からこの教室を出る。
この教室に誰かが近づいて来ている・・・
このままだと二人共見つかってしまう。

もしかしたらアイツじゃないのかもしれない。でもそれは分からない。
だから俺が誰なのかを確認してくる。」

E「ダメだよ、危ないよ・・・一緒にいようよ。」

俺「もしアイツだったらどうする?お前足あんまり速くないだろ?
それにいざとなったらこの包丁がある。だから大丈夫だ。

大丈夫、絶対また戻ってくるから。だからお前はここで待ってるんだ。」


E「うん・・・わかった。ちゃんと戻ってきてね。約束だよ。」

俺「うん、約束だ。」


そう言い残し、俺は教室を出た。
廊下には誰もいない・・・でも・・・


!!!!!!


2つ隣の教室から出てきた・・・アイツだ!真っ黒いやつだ!
廊下の窓から差し込む月明かりのお陰で見える・・・


ヤバイ・・・逃げろ・・・逃げろ・・・逃げるんだ・・・
だが足が動かない、恐怖で動かない・・・


動け、動け、動け!


ダダダダダダ・・・


やっと足が動いた。だが奴との距離は無いに等しい・・・
このままだと追いつかれるかもしれない。

俺は廊下の角を曲がった所で止まり、両手で包丁を持つ。
そして奴も角を曲がってきた。


「うわーーーー!」


奴に向かって思いっきり包丁を刺す。もう恐怖で何もかもが分からなくなっていた。


「やった・・・殺した・・・俺の勝ちだ。」


あまりの恐怖でその場に崩れ落ちる。もう力など入らない・・・
包丁がその場に音を立て、落ちる。
手がブルブル震えている。


!!!!!!


奴は死んでいなかった・・・
何事も無かったように立ち、俺に向かって手を伸ばしてくる・・・

もうダメだ・・・捕まる・・・いや殺される・・・

そう思い、目を瞑り、自分の顔を腕で覆いつくした・・・


「・・・・」


あれ?何も起きない・・・何も起きないぞ・・・
俺は恐る恐る目を開けた。

奴が居ない・・・あるのは転がっている包丁だけだった。


「一体何がどうなっているんだ・・・アイツが居なくなってる。」


俺は理解が出来なかった。確かにさっきまでアイツは俺の目の前に居た。
もうダメだと思った。でも今は居ない・・・消えたのか?

手足がまだ震えている・・・


「そうだ、E!」


俺はEの事を思い出し、震えている足を叩き、起き上がった。
そしてEの元へ向かう。とにかく俺は無事なんだ。

多分心配しているだろう・・・早くEの所へ行かなくては。

Eの所へ急ぐ。


バタン!


教室に入り、Eが入っているロッカーに近づく。


俺「E、大丈夫だよ。俺だよ。俺は無事だよ。
さっきアイツに追いかけられて、捕まりそうになったけど、何でか分かんないけどアイツが居なくなってたんだ。

だからもう多分アイツは居ないよ。俺が包丁で刺したから消えたのかな?
・・・E?ねー聞いてる?」


俺はEが入っているロッカーに向かって話しかける。
だが、Eは何の反応も見せない。俺の言葉が聞こえていないみたいだった。


俺「おい、Eってば」


俺はロッカーを開けようとする。だが開かない。
中から力いっぱい、開かないように引っ張っているみたいだ。


E「い、い、いや・・・来ないで・・・こっち来ないで。」


俺「おい、E、俺だってば。開けろよ!何で閉じこもってるんだよ!」


さらに強くロッカーを引っ張り、開けようとした。


E「いや・・・いや・・・あっちいって・・・来ないで。」


俺の声が本当に聞こえないのか?・・・


俺「だから俺だってば!いいかげんにしろよ!」


思いっきり引っ張った。するとロッカーは開いた。


E「きゃー!!!!来ないでー!!!!」


俺「何でだよ!俺だよ。〇〇だよ。おい、E・・・」


俺はEの肩を掴んだ・・・


バッ!


俺はその瞬間に目が覚めた。ここは・・・皆で寝ていた所だ。
皆まだ寝ている・・・やった・・・夢から覚めたのか!!

でも服は汗でグチョグチョになっていた・・・枕も涙で濡れていた・・・
そしてズボンは・・・濡れていなかった。よかった・・・

そうだ、時間は!今何時だ。

時計を見ると朝の6時頃になっていた。
辺りも明るくなっていた。
一応、自分のほっぺたをつまみ、確認する。

痛い・・・よかった・・・もう夢の中じゃないんだ。
そう思い、安心し、また眠りに入った。


パン、パン


「はーい、皆さん、朝ですよ。よく寝れましたか?はい、起きてください。」

夢鬼Dへ続く
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