夢鬼D

先生の声でまた目が覚める。
先生の顔を確認する。クラスの皆の顔も。
よかった。これはもう夢じゃない。現実に戻ってきたんだ。
そう思い、心から安心した・・・


「はい、皆さん、まずは顔を洗って、目を覚ましましょう。
朝ごはんもありますから、それを食べたら体育館に集合ですよ。
あれ・・・Eちゃん?Eちゃん、起きて下さい。Eちゃん?」


先生がEの所へ行き、揺さぶる。
Eがまだ起きていない。他の皆は起きているのに・・・

仕方ないか・・・俺もまだ凄く眠い、夢の中の出来事だったのに体が疲れている・・・
本当に逃げ回って、鬼ごっこをした様な感覚だ。


「しょうがないですね、Eちゃんは少し寝かせておきましょう。
はい、皆さんは布団を片付けて。早く朝ごはん食べて。」


俺達は自分の布団を片付ける。
そうだ写真、俺は枕の下にある写真を手に取る。


「あれ?名前が書いていない・・・確かに昨日の夜に書いたのに・・・」


写真の裏に書いたはずの名前が消えていた。
俺だけかな?そう思い、E以外の5人(Eはまだ寝ているから)にも確認する。
皆の写真からも名前が消えていた。


D「ねー見て、この写真からも名前が消えている。前はあったよね?」


それは最初にDが、皆に紙と一緒に見せた写真だった。
確かに前はちゃんと名前が書かれていた。でも消えている。
なんでだろう・・・Eのも消えているのかな?


俺たちは写真を鞄にしまう。


そして顔を洗い、朝食を食べる。
夢鬼を行った俺達6人(Eはまだ寝ているので)は一緒の所で食べた。

そして昨晩の夢鬼の事について話す。


A「いやー本当に怖かったな、夢鬼。でも今思うと面白かったかな。俺はすぐに捕まったけど・・・」

B「そうだな、夢の中じゃないみたいだった。やっぱりあの後、お前捕まったんだ。
それにしても、本当に皆で同じ夢を見れたんだな。すげーや。」

C「分かる、分かる。俺は廊下で黒い奴に捕まった。でも捕まる前は誰にも会っていない。声とかは聞こえたけどね。その後に〇〇に会ってさ。

声かけたのになんか逃げてって・・・最後は包丁で刺してくるし。
でも何ともなかったんだよね。まー夢だからか。」


ちょっと待て・・・俺はCの事は家庭科室から見えたが、会ってはないぞ・・・
そして包丁?俺が包丁を刺したのはCじゃなく、あの真っ黒い奴にだ。
なんかおかしい・・・


D「私はA君と、B君と〇〇君、そしてEちゃんに会ったよ。でもB君が私の事を・・・」

B「ごめん、ごめん。本当にごめん。でも夢の中の出来事じゃん。許してよ。
でもお前が黒い奴に捕まったと思ったら、お前消えたんだよ。
そして俺、ソイツに捕まってさ・・・

その後にCを見付けたんだ。Cは何故か逃げてさ・・・
追いついてCに触ったら、目が覚めた。」

C「は?俺お前になんか会ってないぞ!会ったのは〇〇と黒い奴だけだ。」

D「私は真っ黒い奴が消えたのは分かるけど、私は消えてないよ。ちゃんと居たよ。
そしてB君に触ったら私、目が覚めたの。

結局鬼ってあの真っ黒い奴だけだったのかな?でもそれって何かおかしいよね?Fちゃんは誰かに会った?」

F「私は最初、1年1組の教室からだったの・・・すぐに教室を出たら皆の言ってる真っ黒い奴がいたの・・・怖くて動けなくて・・・捕まったと思ったら、真っ黒い奴が消えていて。

その後、玄関の方でガンガンって音がしたの。誰か居るのかと思って玄関に向かったけど誰も居なかった。廊下に消火器が落ちていたから、前に誰かは居たんだろうけど・・・。」


まてよ・・・消火器で窓などのガラスを割ろうとしていたのは俺だ。

そして俺とEは玄関を覗けるロッカーに隠れた。
でも玄関に来たのはFじゃなく、真っ黒い奴だ。


F「そして誰かの声が聞こえたの。声の方に行ったら、A君が居て。私を見て叫んで逃げて行ったの。だから追いかけて、私だよ。Fだよ。って言っても返事が無くて・・・

A君が転んだ時に、私、A君に触ったの。そうしたら目が覚めた。」

A「え?俺、Fには会ってないぞ。最初に会ったのはDで、その後にBに会ったんだ。
会ってしばらくしたら、黒い奴に捕まってさ・・・
でもソイツは何故か消えた。

その後、BとDと〇〇とEに会ったんだよ。
そういえば俺も、その時、なんか逃げられたんだよな・・・
追いかけたらBがDを盾にして。何でこんなに怖がってるんだって思ったよ。俺なのに。

そしてDに触ったら、目が覚めたんだ。〇〇は誰に会ったんだ?」


まただ・・・俺はAには会っていない。B、D、Eと一緒に居たときに会ったのは、あの真っ黒い奴だ。何がどうなっている・・・


俺「俺が会ったのはBとDとE、そして黒い奴だけだ。それ以外会っていない。Cの事は家庭科室から見えたけど・・・Cには会っていない。Aにもだ。

俺は最初Eに会って、一緒に玄関に行ったんだ。外に出ようとして、廊下の窓とかも割ろうと思ったけど無理だった。玄関の戸のガラスも割れなかった。

そうしたら誰かが走ってくる音が聞こえてさ。怖くなってEと一緒にロッカーに隠れたんだよ。ロッカーの中から覗いたら、真っ黒い奴が居てさ・・・そして誰かの声がして、ソイツ、どこかに走っていったんだ。

その後、ロッカーから出て2階に行った。そこでBとDに会ったんだ。
BとDとEと一緒に居たときにまたあの真っ黒い奴が来て・・・。」

A「だからそれは俺だってば!大声が聞こえて、そこに向かったらお前らが居たんだよ。
なのにお前ら逃げるんだもん・・・」

D「ちょっと待って、その時、私たちが見たのはA君じゃなくて、黒い奴だったよ。
そして私、ソイツに捕まったんだもん・・・〇〇君はその後どこに行ったの?」

俺「俺は3階に逃げた。そして家庭科室まで逃げたんだ。そこで包丁を手に入れたんだ。
その後いろんな教室を見て回って・・・そうしたら足音が聞こえて・・・
怖くなって、6年3組の教室に入ったんだ。

そしたらそこにEが居たんだ。でもドアを開ける音が廊下から聞こえて、だんだんその音が近づいてきて・・・もしあの真っ黒い奴だったら、このままだと二人とも見つかるかもしれない。

そう思ってEに、調べてくるからここで待ってろって言って、教室を出たんだ。
教室を出たら近くの教室からあの黒い奴が出てきた。だから逃げた。
そして捕まったら終わりだと思って・・・ソイツに包丁を刺したんだ。

でもソイツ、死ななくて・・・もうダメだと思ったら、ソイツ・・・急に消えたんだ。」

C「それ俺だよ!俺あの黒い奴が消えた後、誰か居ないかって教室を調べて回ったんだよ。
6年1組の教室を出た時に、廊下に〇〇が居たんだよ。

声かけても返事しないし・・・
何か逃げるし・・・やっと追いついたと思ったらいきなり包丁で刺してくるし・・・
そしてお前に触ったら目が覚めたんだよ。」


何だ・・・皆言っている事が違う・・・どうなっている・・・


F「〇〇君はその後どうしたの?」

俺「俺はその後、Eの所に戻ったよ。アイツ、ロッカーに隠れてたんだ。
でもアイツ声かけても返事しないし・・・
なかなかロッカーが開かなくて、やっと開いたと思ったらアイツ、何か叫びだしてさ。
そしてEに触ったら俺も、目が覚めたんだ。」

D「ちょっと待って!さっきから皆、言ってること違くない?皆嘘を付いているの?」

A「嘘なんか付いてねーよ!俺は本当の事しか言ってねーよ!」


皆があーだこーだと喧嘩を始めた・・・
俺も嘘など言っていない。多分皆も嘘は言ってないだろう。

じゃあ何で皆、言っていることが違う。一つ確かな事は皆、学校に居て、夢鬼をやったという事だ。


ここで話を整理しよう。


まずAは最初にDに会い、次にBに会った。その後に黒い奴に襲われた。
そして黒い奴は消え、俺とBとDとEに会った。
その後、Dに触り、目が覚めた。


Bは最初にAとDに会った。だがAは黒い奴に襲われて、Aとははぐれた。
そして次に俺とEに会う。
4人で黒い奴に追われ、そしてDを盾にした。
そうしたらDは消え、黒い奴しか居なくなった。
そして黒い奴に捕まったら、黒い奴は消えた・・・
その後、Cに会い、Cに触って目が覚めた。


Cは最初に黒い奴に会った。黒い奴に追いかけられ捕まる。
そして黒い奴が消え、各教室を調べている時に俺に会う。
その後、俺に包丁を刺されたが無傷。そして俺に触り、目が覚めた。


Dは最初にAに会う。次にBに会い、Aが黒い奴に襲われ・・・Aとはぐれる。
その後俺とEに会い、黒い奴に追われた。
そしてBに盾にされ、黒い奴に捕まる。だが黒い奴は消え、Bだけが居た。
Bに触り目が覚める。


Eは最初に俺に会う、その後二人で玄関に行き、黒い奴に会う。
そしてBとDに会い、また黒い奴に会い、BとDが襲われている隙に、6年3組の教室に逃げ込んだ。
そして俺にまた会い、俺が黒い奴に襲われ、戻ってくるまでそこに居た。
その後は分からない、早く目が覚めてくれればいいが・・・


Fは最初にあの黒い奴に会った。そして捕まったと思ったら、黒い奴は消えた。
その後、Aに会い、Aに触った所で目が覚めた。


そして俺。最初にEに会い、その後玄関に行き、黒い奴をロッカーの中から見た。
その後BとDに会い、黒い奴に追われる。
家庭科室まで逃げ、包丁を手に入れ、各教室を見て回る。
6年3組の教室にEが居て、教室を出た所でまた黒い奴に出会う。
追いつかれ黒い奴に包丁を刺したが、死ななかった。そして捕まる。
すると黒い奴は消え、Eの所へ戻る。
そしてEに触り、目が覚めた・・・


以上だ。


待てよ・・・、考えろ、考えるんだ。


分かった事は、黒い奴に捕まると、黒い奴はその場から消える。
捕まった後に誰かに触ると目が覚める事。これは皆同じだ。

そして捕まった後は自分の声が人には聞こえないらしい・・・
また、誰かを見付け、近づいても逃げられる・・・


!!!!!!!


もしかしたら・・・黒い奴に捕まると、自分も黒い奴になってしまうのか・・・

よく考えればこれは鬼ごっこなのだ。鬼に触られればその人は鬼になる。
鬼ごっことはそういうもの。
鬼になると・・・黒い奴になってしまうのか。


という事は本人だけ、自分が黒い奴、鬼になった事を知らないで、追いかけていたのか・・・
話を聞く限りそう言うことだろう。黒い奴が鬼、それは間違いない。

そして、自分が鬼から鬼じゃなくなった時、目が覚める。
そう考えればつじつまが合う・・・

待てよ、でも鬼は最初からいるとDが言っていた。俺たちの他に鬼が居たはずだ。
最初の鬼が・・・
俺はもう一度皆の話を聞き、考え、整理した。


最初の鬼はFが会った黒い奴だった。
何故ならば誰もFの事は見ていないから。

そして、鬼になった順番はA、D、B、C、そして俺。
最後は・・・Eだった。


Eが最後の鬼になったのだ。そしてEはまだ眠っている・・・


もしかして・・・


俺はEの元へ行く。



「おい!E!起きろ!起きるんだ!」


ダメだ、いくら声をかけても、揺さぶっても起きる気配が無い・・・


皆、鬼になってから、誰かに触り、目が覚めている・・・


だがEはまだ目が覚めていない・・・


まさか・・・まだEは夢の中で、鬼ごっこをしているというのか・・・


捕まえる相手が誰も居ないのに・・・


その時、Eの枕下から、写真が少し、見えているに気が付く。

そして俺はその写真を手に取り、裏を見る・・・・


「ある!名前が書いてある!Eの名前が・・・」


Eの写真にはちゃんと、名前が書かれていた・・・


俺たちの写真からは消えているのに・・・

夢鬼Eへ続く
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