夢鬼F

村の者達は怖くなり、鬼がまだ本当に生きているのか確かめようとしたのじゃ。
そしてそれを確かめるため、また[鬼封じ]が行われた。行ったのは当時村長だった者じゃ。

掘り返し、確かめる事は、怖くて出来なかったらしい・・・

村長は鬼がいるかすぐに分かるよう、自分の家の場所が書いてある地図の裏に名前を書き、行った。

家の中だったらすぐに鬼に出会えるからじゃ・・・その後、鬼の名前が消えたのじゃ・・・」


!!!!!!


俺「鬼は・・・目を覚ましたという事ですか!!」

住職「多分そうじゃろう・・・でも鬼は出てこなかった。多分、眠り過ぎてもう力がなかったのじゃろう・・・
今となっては死んだか、生きているかは分からない。

じゃが、あの岩の下に鬼がいると言う事は事実じゃ。
もう何百年も出てこないのだから死んでいるだろうがな・・・。
そしてまだ続きがある。その当時は今程の医療設備などない。もちろん点滴などない。

だからこのまま村長は眠り続ければいずれ死んでしまう。だから村人達はある行動を取った。

それは眠っていて死んでしまう前に、誰かが[鬼封じ]を行い、寝ている者の目を覚ますという事じゃ。
村の者達は協力して、その行動を続けたんじゃ。

そして村長が目を覚まし、皆に言った・・・
居たのは鬼なんかじゃない・・・真っ黒い奴だとな・・・

なぜ鬼がその様な姿になったかは分からん。
だが村長の次に行った者、それ以降に行った者も黒い奴が居たと言っている。
だからその鬼だけじゃなく、[鬼封じ]を行なった者も黒い奴になってしまう事がわかったんじゃ・・・

でも最初はあの鬼じゃったから、皆、黒い奴になることを鬼になると言っていた。

そして医療が進歩し、寝ていても死ななくなるまでの時間が長くなってからは、何年かおきに行っていたらしい・・・
わしがまだ若い頃も行っていたよ・・・
その頃からはもう、夢鬼と呼ばれておった。そして写真などでも出来るという事も知られていた。」

俺達「・・・・・・・」


俺達がやった夢鬼とはこんな昔からあり、それが鬼を封じる為のものだったのか・・・

そして話に出てきた鬼は、今もあの岩の下にいる。
親達が寺には近づくなと言って当たり前だ。


住職「じゃがこのままでは解決などしない・・・誰かが犠牲にならなけばいけない。

その為には誰か[鬼封じ]をやり、そのまま死ぬしかなかったのじゃ・・・
[鬼封じ]を行い、誰にも鬼にさせることなく死ぬ、それが[鬼封じ]を終わらせる方法じゃった・・・

その後、誰を犠牲にするか会議が行われた・・・わしもその会議に参加したんじゃ。

そして犠牲者が決まった。それはわしの妻じゃった・・・

妻はその時42歳、わしは45歳じゃった。妻は自分から犠牲になると言い出した。

昔から正義感の強い人で、これ以上若い子達にやらせてはいけないと言って志願したんじゃ。

わしはもちろん反対した。でも妻は譲らなかった・・・妻がやるならわしがやる。
そう思ったがそれは無理だった・・・

[鬼封じ]にはルールがあっての、一度行った人間、そして[鬼封じ]を行った人間と血の繋がりが強い者は、もう出来ないのじゃよ・・・
何故このようなルールがあるかと言うと、鬼が目覚めないようにこのルールはある・・・
子鬼がもし[鬼封じ]を行ってしまっては、鬼は目覚めてしまう・・・

だから[鬼封じ]を作った住職はこの様なルールを作ったのじゃ。殺し損ねた時の為にな。

一度行った者がもう出来ないのは、住職の覚悟そのものだったのだろう。
一度失敗すればもう鬼は[鬼封じ]をやってはくれんからのう・・・

血の繋がりは2世代まで。つまりお前さんらのおばあちゃん、おじいちゃん、そして孫までじゃ。それは[鬼封じ]を続けている過程で分かった事じゃ。

わしの祖父が[鬼封じ]をやっておった・・・祖母も、そして母もな・・・

祖母、母、そして妻は別の地域出身だったからの。血の繋がりはなく、[鬼封じ]が行えたのじゃ・・・

わし達の先祖は[鬼封じ]を作った住職じゃ。だから優先的に[鬼封じ]を行う事になっていたんじゃ・・・
だから妻が志願したのかもしれない・・・

そしてもう一つが時間じゃ。
時間は進まない・・・
目が覚めるまで暗いままじゃ・・・
それは鬼に恐怖を与える為のものだと言われている。」


ここで俺のやろうとしていた事が、出来ないと知った。
俺がEを最後の鬼にしてしまった・・・
だからもう一度夢鬼をやり、俺がEの代わりに最後の鬼になろう。そう思っていた。

でももう出来ないんだ・・・俺達は・・・Eを救う事が・・・

そしてやはり時間は進まないんだ・・・じゃあEは今もあの暗い学校に一人で・・・
ここで黙っていたAが口を開く。


A「何で!何でおじいさんの時まで夢鬼が続いたの!
昔の人が犠牲になっていればよかったじゃないか!
何で今まで誰も犠牲になろうとしなかったんだよ!
もっと前に犠牲になっていれば、俺達はこんな事にはならなかったじゃないか!」


Aは泣きながら住職に怒鳴りつけた・・・


住職「それを一番思っているのはわしじゃ!わしじゃってそう思っているわ!
じゃが事実・・・それまで[鬼封じ]は続けられてたんじゃ・・・」


そう言っている住職の目からは涙が出ていた・・・


住職「そして妻が最後の犠牲者になった。最後にわしに「私の分も生きてね」と言ってな。

わしらには子供がいなかったからの・・・
わしは妻が死ぬまで一緒にいようと、毎日病院に通った・・・
毎日、毎日な・・・

ずっと寝ている妻に話しかけながら、面会時間まで毎日いた。
もう二度と[鬼封じ]はやってはならないと、皆が固く、口を閉ざした。

でもある日、事件が起こった・・・妻が目を覚ましてしまったのじゃよ・・・
その時妻は72歳じゃった・・・

何者かがまた[鬼封じ]を行ったらしい・・・それが先ほど電話をかけた者じゃ。
その者達はまだその時中学生での・・・噂で[鬼封じ]の事を知ったらしい。

噂程度ではまだあったからの・・・
そしてこの寺に[鬼封じ]の真相が書かれている書物がある事も噂で聞いていたらしい・・・
その書物には代々、[鬼封じ]を行った者の名前、そしてその記録が書かれていたんじゃ・・・
そしてルールと方法もな・・・

その者達はわしが病院に行っている間に、寺に忍び込み、書物を読み、そして肝試し感覚で[鬼封じ]を行ったらしい・・・

書物は代々、寺の仏像の前に飾られていたんじゃ・・・
その事もその者達は知っていたらしい。

そしてまた犠牲者が出た・・・
それがこの写真を持っていた者じゃよ・・・」


住職はDが図書館で見つけた写真を指差した・・・


「それからはひどかった・・・
妻は長年眠っていたせいで口が聞けんようになっていての・・・

そして3年後には他界したんじゃ・・・目覚めてから一言も妻とは話せなかった・・・

皆からは早く殺していればよかったんだなどと言われ・・・
しまいには、寺には近づくななどと言われ・・・
お前が書物を処分していればよかったんだなどとも・・・
全てわしのせいにされたわ・・・

人間とは本当に酷い生き物じゃよ・・・他人の事など一切気にせず暴言を吐く・・・

自分だけよければいい・・・
昔の者たちもそうだったのかの・・・
妻は本当にいい妻じゃった・・・
本当に愛していたんじゃ・・・
せめて死ぬまで見届けていたかった・・・
なのに早く殺せばよかったなどと・・・本当に酷い奴らじゃ・・・」


俺達「・・・・・・・」


住職は泣いていた。
俺たちも泣いていた・・・

本当の犠牲者はこの住職なのかもしれない・・・
もし俺が住職の立場だったら・・・と思うと胸が痛い・・・

本当に酷い話だ・・・小学生の俺でも住職がどんなに辛かったかよく分かる・・・

俺なら辛くて自殺しているかもしれない・・・
でも住職は生きている・・・

多分それは住職の妻が最後に住職に向けて言った、「私の分も生きてね」その言葉だけで生きているのだろう・・・
そんな気がした・・・


住職「すまんのう・・・年を取ると涙もろくての・・・すまん・・・

わしはこの写真を持っていた者が犠牲になった後、すぐに書物を処分した。

そして皆、本当に[鬼封じ]を口に出すことを止めたのじゃ・・・

中学生が犠牲になった・・・
それだけで理由としては十分じゃった・・・
そしてこの者が本当に最後の犠牲者になると決めた・・・

皆、もう[鬼封じ]は誰も行わない。この者が死んで終わる・・・
そう皆で決めたのじゃ・・・

それからは一切この寺には誰も近づかず、そして誰も本当に[鬼封じ]について語らなくなったのじゃ・・・

そしてお前達子供がもしも[鬼封じ]について知ってしまったら、好奇心でやってしまうかもしれない・・・

その為、皆、子供達には小さい頃から夢鬼として恐怖を与え、夢鬼とは怖いもの、口にしてはならないものと教えたのじゃ・・・

でもお前達はやってしまった・・・
それも意味がなかった事じゃのう・・・」


俺達は終わるはずだった夢鬼を行い、また犠牲者を出してしまった・・・
本当にとんでもないことをしてしまったんだ・・・

そしてEは最後の犠牲者になってしまうんだ・・・

誰ももう夢鬼はやらないだろう・・・
Eの親には出来ない・・・血の繋がりが強いから・・・

そして俺達にも出来ない・・・
一度やってしまっているから・・・

そして皆、早く夢鬼を終わらせたいと強く願っている・・・

だから誰ももうやらない・・・
俺達のせいでもっと規制がかかるだろう・・・

俺達が誰かにやってと言っても、もう誰もやらないだろう・・・

誰かがまたやったとしてもまた同じ事の繰り返し・・・

皆、死ぬまであの暗い中、一人という悪夢を見るのだ・・・

Eを助けようとする人がいるかもしれない・・・

校長や、先生など・・・
でも止められるだろう・・・
もしかしたらもう夢鬼の経験者、あるいは経験者と強い血の繋がりがあるかもしれない・・・

それに、自ら夢鬼をすると言うことは、自殺をする様なものだ・・・黙っている訳がない・・・

これ以上、犠牲者を出さない、それが一番優先されているから・・・

夢鬼をやってしまった者が悪い、そうなってしまう。

そしてその時の最後の鬼の人が犠牲者になる。その責任を負う。
そう決められているのだろう・・・

だから俺達の前に夢鬼を知った人達の、最後の鬼の人が、この写真の持ち主だったのだろう・・・

その人からEになった・・・

ただそれだけの事なのかもしれない・・・


でも一つ疑問が残る・・・

そう、あのDが見つけたという紙と写真だ!

誰がそんな事をした!あれがなければEは夢鬼をやることはなかったんだ!

その時、誰かが部屋に入ってきた・・・


「住職!アイツが目を覚ましていました!・・・この子達が夢鬼を?」


そう言い、勢いよく男が入ってきた。
歳は20代半ばくらいだろうか・・・


住職「そうか・・・やはり目が覚めたか・・・そうじゃ、この子達が昨晩夢鬼を行った子達じゃ。
・・・
そしてお前達、この者がお前達の前に夢鬼を行った者じゃ・・・」


!!!!!!


この人が俺たちの前に夢鬼をやった人なのか!

この人、いや・・・コイツが居なければEは・・・

俺はこの人に飛びかかろうとする・・・


住職「やめろ!そんな事をしても意味がない!
こやつもお前たちと同じ気持ちなんじゃ!
今までずっと思い詰めて生きてきたんじゃ!それくらい分かれ!
それにお前達も悪いんじゃ!」


俺「・・・・・・・・」


確かにそうだ・・・俺達が悪い。
この人を責めても意味がない・・・


男「・・・・本当にすまない・・・
俺達のせいで君達は・・・でも何で君達は夢鬼のことを知っているんだ?
俺達の時でもう終わったと思っていたのに・・・

住職「これのせいじゃよ・・・
これを見てこの子達は夢鬼について知ったらしい・・・」


住職はその男にDが手に入れた紙と写真を見せる・・・


男「なぜこれがこの子達の所に・・・住職まさか・・・」

住職「ああ、多分な・・・それを確認する為に、お前が来たらあの娘(Eの前の犠牲者)の所へ行くつもりじゃ。
お前達も一緒にくるのじゃ!」


そう言われ、俺達はこの部屋を出た・・・

夢鬼Gへ続く
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